辻本好子のうちでのこづち
No.048
(会報誌 1998年12月15日号 No.100 掲載)
情報紙「COML」が100号を迎えました!
ほんとうに数えきれないほど多くの方々との出会いと力強いご支援をいただいて、会報誌「COML」がついに“100号達成!”という大きな大きな区切りのときを迎えることができました。
今日まで温かく見守り、育んでくださいました皆様に、スタッフー同心よりお礼を申しあげます。明日からもまた決して気負うことなく200号を目指して、しっかりと地に足をつけて一歩一歩、歩みつづけて行きます。これまで以上に厳しいご指導とご支援を賜りますよう、どうかよろしくお願いいたします。
孤軍奮闘していたあの頃……
9年前、最初の情報誌として稚拙な「準備号」を発行したのが、まさしくCOMLの産声でした。当初は、文字通りの孤軍奮闘。発行から発送作業まで、細々と一人で取り組んでいました。その頃の読者数は400〜500人ほどで、ほとんどが知人友人。無謀にも一人で立ちあがった私を、とりあえず支えてやろうという温情そのもの。毎月の発送時には、一人ひとりのお顔を思い浮かべて「今月もお送りできました!」と、封筒の中にそっと小さなメッセージを添えていました。“つながっている”ことを実感する一番の幸せなときのあの思い、今も決して忘れることはできません。
それから少しずつ読者の輪が広がり、スタッフも増え、ボランティアのご協力をいただいて役割分担となり、メッセージを添えることができなくなりました。つながっていた糸が切れてしまうのではないかと、不安を抱いたことも懐かしく思い出されます。幼子がひとり歩きするときのような嬉しさと寂しさのない混ぜを心の片隅で感じながらも、月毎にたくましく育ってゆく「COML」を今はまぶしいような思いで眺めている私です。
これからもバランス感覚を大事にして
さて、COMLが誕生してから今日までの9年間。患者を取り巻く医療周辺は、じつに驚くべき大きな変化をとげています。少子高齢による労働人口の減少や日本経済の破綻によるビッグバンが医療にも押し寄せ、「冬の時代」と言われる危機を目前にしています。季節なら待っていさえすれば必ず春はめぐってきますが、どうも日本の医療はそんな生やさしい状況ではありません。全手術の8割以上が日帰り手術というアメリカのように、日本でも11月から“定食医療”のようにパックされた包括支払い方式の施行が始まっています。
価値観の多様化や権利意識の向上という背景だけでなく、ひっ迫した医療経済の中、これまで「お任せ」と甘えてきた患者と「施す」意識の医療者の双方に、いよいよ厳しい意識改革が求められています。あくまでも冷静な第三者の立場として、患者にも医療者側にも忌憚なく苦言を呈するバランス感覚を大切にしているCOMLの果たすべき役割は(残念ながら)まだしばらく必要のようです。
少し生意気かもしれませんが、一日も早くCOMLの存在が不必要になることが私の願いです。不安や不満を抱いた患者や家族がCOMLに電話などしなくても、かかっている医療機関や地域の中にそうした相談の受け皿が用意されるようになれば、COMLの役割は終わりです。そんな日が来るまで、精一杯、活動を楽しみながら、できるかぎりの努力をつづけて参りたいと思います。どうか、どうか、よろしくご支援、ご協力くださいますよう心よりお願い申しあげ、100号達成のお礼のご挨拶とさせていただきます。